06.「思い出アルバム」になるムービー

日経コラム 第6回 2005年8月7日

 もうすぐお盆休み。

 お子様を連れた帰省や海外旅行などを計画されている方がたくさんいらっしゃることと思います。日頃は多忙なお父さん・お母さんたちも、この機会を利用し、子どもたちに楽しい夏休みを!と願っていることでしょう。

 他に変えられない気持ちやひと時の体験を大切にしたい…、いわゆる『ものより思い出』のニーズは尽きることがありません。

 ムービーと言われる小型のビデオカメラが、一般ユーザーに浸透し始めたのは1980年代後半。今では普及率40%にまで達したムービーは、入学式や運動会、旅行などの必須アイテムになりました。

 でも、「撮った直後は観るけど、いつの間にか観なくなった…」や「録画テープが部屋の片隅で山積みになってしまって…」なんてことになっていませんか。

 最近のハードディスク内蔵のDVDレコーダーも『400時間の長時間録画』などと謳われますが、「そんな長時間のコンテンツを観る時間はあるの?」という疑問が出てくるのと同じですね。せっかく撮った思い出が山積みのまま忘れ去られると、なんだか悲しい気持ちになってしまいます。

 それではここで、みんなの思い出を大切にするために、大阪らしい『楽しさと実利』の視点で、これからのムービーを半チャンネルひねってみましょう。

 多くの場合、ムービー機器は一家に1台のものですが、カメラ機器発想ではなく、個人単位の発想で考え直してみます。そう、思い出は一人ひとりのものですから。

 まず、テープやDVDに代わる記録メディア(以下、仮称でムービーメモリー)は、例えば“タロウくん”という名前などをつけ、個人ごとに専用化します。メモリーの大容量化は今後ますます進化しますから、テープ1000本分のビデオ映像だって納まってしまうことでしょう。

 次に、こんな大容量のムービーメモリーなら、撮影する映像を編集など気にせずに生のまま溜め込むことができます。生まれた時から一生をかけて、生活の記録をどんどん詰め込んでいくイメージです。

 こうしてできあがる個人のムービーメモリーは、今で言う写真アルバムのように、時間が経てば経つほど貴重な財産になっていくことでしょう。10年後、20年後こそ観たくなる映像です。

 お父さん・お母さんが大事に育む我が子のムービーメモリーなら、離れたおじいちゃんやおばあちゃんもきっと「欲しい!」と思うでしょう。そんな時は、“タロウくん”ムービーメモリーをもうひとつ用意してプレゼントしてあげます。

 新しい映像が追加収録されても、ネットワークを通じて他のムービーメモリーを更新できるので、様々な家族が持つ“タロウくん”ムービーメモリーは常に最新の映像アーカイブとなるはずです。また、遠くの家族を身近に感じるツールとなるはずです。

 一家に1台のビデオムービーから、一人に1個、一人に数個のムービーメモリーへ。一生を記録し、一生を家族と共有できる未来のアルバム…。

 デジタルとネットワークだから広がる、こんなこれからの『ものより思い出』はいかがでしょうか。